今宵、最後の一杯を…

「じゃあ…行こうか…。」そう言って煽ったグラスは
男の手でカウンターに置かれ
肩にまわされた手先の熱に、これからこの男と寝ることに
なるんだなと妙に実感した…。

 後腐れのない相手を選んだら……
愛なんて考えなくてもすむんじゃないのかな?

 今夜は何故だか、あいつを感じる密度が濃すぎて息苦しい…。

 何も残さず…何一つ変わらず…湧き上がる性欲の処理のために…。

 
 小さな溜息が零れた…ひどく不毛だね…。

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