そこにいて笑ってて
ありがとう、琴音。

あたしは涙をぬぐって走った。



いつもの道が、

いつもより長く感じた。




ガチャ!

そして鍵を閉める。



あなたはまた振り向いた。

けど今度は、口を開かなかった。




「何回も来ちゃって、ごめんね!

 さっきも、なんか怒っちゃって‥‥

 ごめん。」


あなたはそれを無視する。


‥‥めげない。


「言いたいことが、あって。」


あなたはそれを無視する。


‥‥めげない。


「あたし、中学のとき、
 嫌われてたんだぁ」
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