[【殺人ゲーム】クリック!]
『お前、優しいのな。』
「…え?」
突拍子もなく言う真輝に、訳が分からず亜季は真輝の顔を見た。
『流の犯行に見せかけるのに、明らかに流の犯行ではない証拠を残した。』
「…気付いてたの。」
溜め息混じりに亜季は呟いた。
まるで、本当は気付いてほしくなかったかのように…。
『無能な警察でも、あれくらいはすぐに気付くだろ。
流もきっとすぐに解放される。』
「…そうね。」
瞬間、目の前が真っ暗になった。
「…真輝?」
画面越しに呟くと、真輝の声が後方から聞こえてきた。
思わず亜季は振り向いた。
…が、部屋には誰も居なかった。
『あんな男、早く忘れろ。』
「…何でもお見通しなのね。」
『大事な人の情報はいっぱい持ってないと、気が済まないんだわ、俺。』
クスリと笑い、亜季の瞳からはパタパタと涙が溢れてきた。
ポス、ポス、と背中を叩いてくれているのが音で分かる。
それに安心感を覚えた亜季の瞳からは、涙が止めどなく溢れ出した。