まだ君を愛してる
アバターチャット
学校が終わると、平日はそのまままっすぐ帰宅する。
そして俺は自室に入って真っ先にパソコンの電源を入れるのだ。

目的は一つだけである。
最近流行りの『アバターチャット』をするためだ。

毎日ログインすると、その仮想世界の通貨ともいえるものが手に入る。
着せ替えもできたり、世界のどこかに住んでる人と話すことができたりとかなり楽しいものだった。


「さあ、今日も俺の分身君で街中を歩きますかね！」

街中、といっても仮想世界のものだ。
リアルに再現されたものではない。
よくみると結構いい加減にみえるものだが、あえてそこは突っ込まない。
そんなことしてたら面白くなくなるからだ。


着せ替えで黒いスーツのような格好になった俺のアバター。
この世界では、『廉』という名前で存在しているため、「れん」と呼ばれる。
着替えて街に出てみると、小さなエリアに６人程居座っていた。

チャットの基本は挨拶だ。
だけど、この世界ではそれは自由のようで、入室してもそのまま黙っててもいいらしい。
だけど、俺はそれが嫌だった。
チャットの世界でまで黙ることはないだろうと思うのだ。

「こんにちは。」

俺が話しかけると、６人のうちの一人が返事をした。





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