まだ君を愛してる
「大丈夫?」

耐え切れなくて聞いてみる。

「大丈夫だよ、辛くないよ。」
「えー・・辛いと涙でるよ。」
「本当に苦手なんだね、辛いの。」
「苦手だよー、食べると死んじゃうもん。」
「涙の出すぎで?」
「うん、死活問題になるの。」

そんなアホな、と優輝君は笑った。
私は、14時からのイルカショーのために最前列を取ろうよって提案した。
ごはんも食べたし、すぐに場所取りに向かった。

1時間も時間があるから案の定そのショールームはすいていた。
1時間も一人で待つのはさすがにきついけど、優輝君とおしゃべりできるしきつくないし、むしろ楽しかった。

「優輝くんはイルカとシャチならどっちが好き?」
「俺はシャチかなぁ。」
「かっこいいもんねー。でも、ここイルカだよ?」
「いいの、俺はさくらちゃんと見れるならなんでもいいの」


そう言って笑う優輝君に私はうつむいて「そっかぁ」と返事をした。

「ねぇ、さくらちゃん。」
「なぁに・・?」
「俺のこと怖くない?」
「どうして?」
「いや、俺も・・3次元の男だし・・」
「あははっ!優輝君は別ですねー。全然怖くないですよ」
「そっか、よかった」

優輝くんはホッと胸をなでおろしていた。
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