天神学園高等部の奇怪な面々29

「ほらぁ、早く早くぅん」

藍色の無地に藤の花の浴衣を着用したシルフィアが、子供のようにはしゃぐ。

「それにしても龍娘先生も、じぃ先生も、何で普段と同じ格好で来るのぉ？日本の祭は浴衣でしょ、浴衣！もう…これだから情緒の理解できない外国人は…」

お前なんか外国人云々どころかミイラ女じゃねぇか。

「あ、あの…」

龍娘の隣を歩く拓斗が、恐縮そうに口を開く。

「修行を休んでまで、お祭りになんて誘って頂いてよかったんでしょうか…龍太郎君だけ除け者ですし…」

「よいのだ」

龍娘は微笑む。

「お前は地味な基礎の稽古も文句ひとつ言わずに地道に毎日やり遂げた。だからこそ半年で黒帯習得に届く成果が出たのだ」

「そうそう」

「それだけの成果を出せれば、息抜きしたとて何ら問題はない」

「うん、龍娘先生の言う通り！」

「…丹下はよいのだ。アイツは修行以前に補習で成果が出せていないからな｣

「まぁスペシャルバカだからな｣

「……」