天神学園高等部の奇怪な面々29
「む」

林檎飴の屋台の前で、翡翠が立ち止まった。

「ここで買うといいぞ、わたるん」

翡翠の『わたるん』呼びは馴染まないなと思いつつ、渉が振り返る。

「ここの親父は気前がよくてな、林檎飴四本を、二本の値段で売ってくれるのだ」

お前はサービスという言葉を知らんのか。

「さぁ売れ親父、林檎飴八本を二本の値段で売れ」

渉、渉の家族三人、おぶさりっ子、狐面兄弟、その姉で八本。

あれ、ヒャッハーは含まれてないけど…まぁいいか。

それにしても物凄いディスカウントぶりだな、翡翠。

まぁ邪眼で睨まれて凄まれては、売るしかないが。

林檎飴屋台の親父、涙目。

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