天神学園高等部の奇怪な面々29
「え…」

指摘されるまで気付かなかった。

頬が緩み、目尻が下がる。

自然とこぼれる笑み。

破顔一笑、とまではいかないが、確かに渉は表情をほころばせていた。

誰に強要された訳でなく、意識的に表情を作った訳でなく、思わず浮かんだ微笑み。

これが、『楽しい』という感覚。

感情に任せて、喜び、楽しみ、笑うという感覚…。

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