天神学園高等部の奇怪な面々29
振り向くと、灰色の浴衣に袖に金魚が泳ぐ羽織を着用した実直そうな少年。
首には白い包帯がかれている。
いつもの学帽、詰襟学生服、黒マントの出で立ちと違うが、紛れもなくそれは2年の春夏秋冬 渉(ひととせ わたる)だった。
「おお、わたるん!」
「……龍太郎一味にも浸透してるんですね、その渾名…」
龍娘の第一声に、渉は苦笑い。
「それにしても珍しいな、どこか一線引いたような付き合い方しかしなかったお前が、こうして私達と一緒に夏祭りに出かけるとは」
「……」
渉の視線が、僅かに下がる。
「こちらから距離を置いておいて、今更親しくして頂こうなんて、少しムシが良すぎるかなとは思うんですが…」
「何を言うか、馬鹿者」
仏頂面で翡翠が言うものだから、まるで怒っているように見える。
「そ、そうだよ渉君、仲良くなるのに今更も何もないじゃない」
拓斗が何とか渉を温かく迎え入れようと言葉を紡ぐ。
首には白い包帯がかれている。
いつもの学帽、詰襟学生服、黒マントの出で立ちと違うが、紛れもなくそれは2年の春夏秋冬 渉(ひととせ わたる)だった。
「おお、わたるん!」
「……龍太郎一味にも浸透してるんですね、その渾名…」
龍娘の第一声に、渉は苦笑い。
「それにしても珍しいな、どこか一線引いたような付き合い方しかしなかったお前が、こうして私達と一緒に夏祭りに出かけるとは」
「……」
渉の視線が、僅かに下がる。
「こちらから距離を置いておいて、今更親しくして頂こうなんて、少しムシが良すぎるかなとは思うんですが…」
「何を言うか、馬鹿者」
仏頂面で翡翠が言うものだから、まるで怒っているように見える。
「そ、そうだよ渉君、仲良くなるのに今更も何もないじゃない」
拓斗が何とか渉を温かく迎え入れようと言葉を紡ぐ。