天神学園高等部の奇怪な面々29
相変わらず子供じみていて、負けず嫌いで、どこか目立ちたがりで。

それだけに、いとおしい…。

不貞腐れる愛しき亭主。

その腰の愛刀に、奥方はそっと手を伸ばした。

「すー、君は誰だい?」

「む?」

妻の問いかけに、一瞬疑問符を浮かべる翡翠。

「君は剣客…君は夕城の当主…君は天神学園で恐れられる閻魔様…」

「最後のは要らん」

依然仏頂面の翡翠にクスッと笑った後。

「君はその『剣腕で』僕とこの子達を守ってくれる旦那様…」

ゆっくりと川蝉から硬い腹筋、分厚い胸板を伝っていった細くしなやかな白い指が、翡翠の喉元から頬へとなぞっていく。

「射的なんて上手じゃなくていいんだ…君は侍として、僕を守ってくれるんだから」

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