天神学園高等部の奇怪な面々29
綿飴を買って、奥方の元に戻る。

「おかえり、すー」

奥方は満面の笑みだった。

「君にしては上出来な『方便』だったね」

「……見ていたのか」

またも仏頂面の翡翠。

奥方はそんな亭主に、腕を絡める。

「ああいう嘘なら、瑠璃やめのうにもついていいよ?」

「……嘘は好かん…心根の具合が悪くなる」

決して先程の男の子に嘘をついた事が、間違いだとは思わない。

真実を語って落胆させるばかりが、幼子に対する接し方とは思わない。

しかし…。

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