天神学園高等部の奇怪な面々29
複雑な表情を見せる翡翠。

そんな些細な事でも葛藤する旦那を、奥方は可愛らしくも誇らしくも思う。

こんな不器用な男を、改めて惚れ直す。

「ねぇ、すー」

綿飴片手に、もう片方の手で翡翠を引っ張り。

奥方は少し早足で歩く。

「何を慌てている、転んでは大事だぞ」

「大丈夫だよ、僕は浴衣や下駄には慣れてるんだから」

それよりも、もっと夏祭りを堪能したかった。

のんびり歩いているばかりでは勿体無い。

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