天神学園高等部の奇怪な面々29
見つめ合う翡翠と奥方。

その二人の横顔を照らすように。

「!」

遠くの夜空に、花火が咲いた。

屋台に向かう多くの人々でさえ、その美しき大輪の華に目を奪われ、気を取られ、心惹かれる。

だが翡翠だけは。

彼だけは花火にさえも気を取られる事はない。

いつだって、彼を虜にできるのは目の前の美しき妻だけ。

夏の花火でさえ、翡翠を魅了する事は出来はしない。

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