天神学園高等部の奇怪な面々29
綿飴を食べ終わり、虹華はキョロキョロしながら歩く。

次はどの屋台に行こうか。

目移りさせながら歩を進め。

「決めた、あそこ行こう!」

虹華は金魚掬いの屋台へと向かう。

これもまた夏祭りの定番。

「おじさん、金魚掬い一回ね」

「あいよ」

虹華がお金を払うと、小さな椀と『ポイ』と呼ばれる金魚を掬う道具が手渡された。

枠に紙が貼られたポイは、水に浸すとふやけて脆くなり、すぐに破れてしまう。

そうなるまでに何匹の金魚を掬って椀に入れられるか、というのが言わずと知れたこの遊びの骨子である。

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