ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
赤くなった頬を見られると恥ずかしいから、思わず両手で挟んで隠してしまう。

そんなあたしの様子にも特に気づいた風でもなく、ふと思いついたように薫さんはパチンと手を叩いた。


「そうだ。

こないだのさ、柚希ちゃんのあの秋の絵に触発されちゃったから、また今度、オレなりの秋の絵でも描いてみようかな。

ああいう秋の絵は、そういえばこれまで描いたことがなかった。

紅葉、好きなのに」


楽しそうな、ほがらかな声。


「あ、それ、見たい! 絶対」


飛び跳ねるように言うあたしに、また明るい笑顔を向ける。


「……ねぇ薫さん、もうちょっと見てていい?

原画なんて、なかなか見る機会がないから」

「もちろん、どうぞ。ごゆっくり」

「ありがとう!」


あたしは時間も忘れて、この美しい世界に浸ってた。

たくさんの絵に囲まれて。

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