ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(そんなの、どうやって――?)


黙りこむあたしにもめげずに、薫さんはパンと手を叩いた。


「そうだ。

いいこと思いついた。

スカートをはいてみるのが簡単なんじゃないかな。

スカートは女の子しかはかないわけだし。どう?

自然と女の子だって自覚できて、受け容れられるんじゃないかな。

特に努力もいらないでしょ。

ちょっときれいに着飾ってみるといいよ」


「そんな……スカートなんて、何年もはいてない」


あたしはうろたえた。


「第一似合わないし。

一着も持ってないから」


「別に似合わなかろうがなんだろうが、はいてみるといいよ。無理やり。

気にしない、気にしない。

そうだ、いいのがある。サイズが合うかな。ちょっと待って。

……ええと、どこへやったかな」

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