ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(そうだ。

今までどこか窮屈だった――)


いいなと思う人がいても、なぜか先に進めない。

女の子扱いされるといちいち腹が立って。

女の子らしいものへの憧れはこっそり持っているのに、どうしてもそっちへいけない。

人前で泣けない。

女らしい体になりかける自分に、必死に抵抗してる。


あちこちにあった見えない壁が、今、あたしの目にはっきり見えていた。


あたしは藍色のスカートに目を落とす。

ちょっと和風でシックな、大人っぽい素敵なデザインの藍色のスカート。


ヒラヒラしたのはとても無理だけど……

でも、これなら、はいてみてもいいかも……。


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