ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

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「あんた、バカじゃないの?」


ママは荷物を抱えて、すっかりあきれて帰ってきた。


「うん……」

「荷物全部忘れるなんて、何考えてんのよ」

「うん……」

「何か余計なことでも考えてたんでしょ」

「……まあね」


どれだけ馬鹿にされても、実際のことはとても言えない。

あんなモデルをしていたことを知って動揺して。

さらに、急に黒川さんが怖くなって飛び出したなんて。

あたしは曖昧な返事を繰り返した。


(それにしても、ママが荷物を取りに行ってくれて助かった……)


「帰り、どうやって帰ってきたのよ?

お財布まで忘れて」

「……ポケットにお金がちょっと入ってたから」

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