ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(逃げた――)


言葉がいちいち、心に突き刺さる。


「………すみません。あの……すごく恥ずかしくなって」


あたしは何とか、それだけ言った。


「何が?」

「……」

「どうして自分で荷物を取りに来なかったの?」

「………」

「……まあいいよ。今日のところは許してあげる」


ほんのり笑いさえ含んだような声に、ゾッとした。


「いい?

君のこんな写真は何枚もあるんだよ。

顔だってはっきり映ってる。

ネットにばら撒かれたくなければ、次回はちゃんとおいで。

一度ばら撒かれたら、絶対に回収なんてできないからね。いいね」

「……!」


思わず絶句した。

< 147 / 278 >

この作品をシェア

pagetop