ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
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とぼとぼと公園を歩く。


(あんまり早く帰ったらママがうるさいかな。どこかで時間潰そうかな)


薫さんが座っているベンチも気づかずに通り過ぎかけて、あたしは声を掛けられて初めて気づいた。


「どうしたの? 具合でも悪いの?」


ゆったりした声。


(薫さん……)


のろのろと振り返ると、薫さんはベンチに座ってスケッチブックを構えたまま、澄んだ目でじっとあたしを見てた。

今日はもう花粉症のフルセットは着けてない。

繊細な整った白い顔が白日のもとにさらされているのは、秘密が暴かれたようで何だか不思議な気さえする。


薫さんの顔を見た途端、また心にポッと明かりが灯ったようで、何だかすごくほっとした。


「花粉はもういいの?」
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