ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「うん、とっくに花粉の季節終わってた」


肩をすくめてニッと笑う。


「柚希ちゃん、顔色が悪いよ。大丈夫?」

「……ちょっと、疲れてるかも」

「これ、飲む?」


明るい笑顔で差し出されたミックスジュースの缶を受け取った。


「ありがとう」


この太陽のような笑顔を見るだけで、何だかエネルギーをもらえる気がする。

薫さんの隣にちょこんと腰掛けて、缶を開けながらスケッチブックをのぞきこんだ。

一面に花の咲き誇る草原を、子どもたちが笛を吹きながら歩いてる、幻想的な情景。

バックには大きな木が並んでいて、一部の葉が軽く描き込まれていた。

まだ下絵段階なのに、生き生きとして色彩を感じる、そんな絵。


(なんの絵かな。完成が楽しみ)


知らず知らず微笑んでしまう。

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