ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
絵を横目で見ながらジュースを乾いた喉に流し込んだ。
「………おいしい」
生き返ったような気分。
思わず小さなため息をつくあたしに、薫さんは唐突に言った。
「ねぇ、柚希ちゃんが行ってるのって、黒川智弘のところでしょ?」
「え? そうだけど」
(知ってるの? あの人を――薫さんは)
画家仲間か何かかな。
「あっちから声を掛けられたの? 自分のところに通えって」
「え?」
(あたしの絵を見込んでってこと?)
そんなわけないよ。
「ううん、違うよ。
ママの仕事先の人がね、たまたま知り合いだったから紹介してくれたの。
O美大出身だし、O美大関係者だからって」
「………おいしい」
生き返ったような気分。
思わず小さなため息をつくあたしに、薫さんは唐突に言った。
「ねぇ、柚希ちゃんが行ってるのって、黒川智弘のところでしょ?」
「え? そうだけど」
(知ってるの? あの人を――薫さんは)
画家仲間か何かかな。
「あっちから声を掛けられたの? 自分のところに通えって」
「え?」
(あたしの絵を見込んでってこと?)
そんなわけないよ。
「ううん、違うよ。
ママの仕事先の人がね、たまたま知り合いだったから紹介してくれたの。
O美大出身だし、O美大関係者だからって」