ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「なんだ、そうだったんだ。

そっか、偶然か」


それきり黙りこんだ薫さんに、あたしは落ち着かない。


(何だろ。どういうこと?)


あたしは思わず、薫さんの繊細な横顔に詰め寄ってた。


「もし、黒川さんから声が掛かってたら、何なの?」

「……そうだな。何も隠すこともないか」


薫さんはしばらく考えていたけど、突然言った。


「秋月レイって女優知ってる?」

「……え?」


突然出てきた名前に、あたしは驚いて口をぽかんと開けてた。


「知ってるよ。

何年か前、事故で亡くなった宝塚出身の女優さん」

「うん。そう。

柚希ちゃん、似てるって言われない?」

「……」

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