ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
薫さんのきれいな目が、やさしく細まった。
「ほら、こないだ言ってたでしょ?
上手い人に嫉妬してあら探しをしたり、下手な人を見て優越感を持ったりする自分が嫌だったって。
賞や評価ばかり求めていて疲れてたって」
「……うん」
泣いたことを思い出して、ちょっと恥ずかしくなる。
「そういうものがさ、実は自分を苦しめているっていうことは、人はなかなか気付かないもんなんだよ。
人の評価・賞賛なんてものは、得られさえすれば、実際甘い汁なわけだしね。
どうしてもそっちを求めたくなって、得られないときの苦しみには目をつぶりがちなんだ」
「……」
「人の優位に立ちたい、なんてのもそうだよね。
“この人より上手な絵が描けた”なんて、優位に立てて優越感で喜んでると、優位に立てないときに劣等感に苦しむことになる」
「……うん」
「そこから離れることができたら、生きるのがずいぶん楽になるんだけどね。
人からどう思われようと一切気にしなければいい。
「ほら、こないだ言ってたでしょ?
上手い人に嫉妬してあら探しをしたり、下手な人を見て優越感を持ったりする自分が嫌だったって。
賞や評価ばかり求めていて疲れてたって」
「……うん」
泣いたことを思い出して、ちょっと恥ずかしくなる。
「そういうものがさ、実は自分を苦しめているっていうことは、人はなかなか気付かないもんなんだよ。
人の評価・賞賛なんてものは、得られさえすれば、実際甘い汁なわけだしね。
どうしてもそっちを求めたくなって、得られないときの苦しみには目をつぶりがちなんだ」
「……」
「人の優位に立ちたい、なんてのもそうだよね。
“この人より上手な絵が描けた”なんて、優位に立てて優越感で喜んでると、優位に立てないときに劣等感に苦しむことになる」
「……うん」
「そこから離れることができたら、生きるのがずいぶん楽になるんだけどね。
人からどう思われようと一切気にしなければいい。