ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
人から評価されたりけなされたりしたところで、自分の本質的価値は変わらないわけだしね。

また、人と自分を比べるのをやめればいい。

比べても何も生まれないし、上を見ればキリがないからね。完全に満足することなんて絶対にない」


涼しげな声でさらっと言う。


「……うん。そうだね」

「……大抵はその“表裏”にはまり込んでいるから、気づくことさえ困難だったりするんだよ。

君はすでにそこに気づいてた。

それで自分が苦しんでいるっていうことをね」

「……」

「そういう、自分の内側を照らす光を持ってるんだなって思ったよ」


薫さん……。


(ちょちょちょっと、どうしよう……)


頭が沸騰しそうなんですけど……。

そんなにニコニコして言われると、どんな反応していいのか全くわからない……。

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