ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
……何か兄貴の様子が変だと思ったことはない?」

「……」


不意に現実に引き戻される。


「特に何もなければ別にいいんだけど……

……もし何か少しでもおかしいと感じるなら、もう君は兄貴に近づかない方がいいかもしれない。

ね、気づいたことがあったら何でも言って」


黒川さんの異様な目の光が脳裏をちらつく。


(ネットにばら撒かれたくなければ、次回はちゃんとおいで)

(君はもう、僕から逃げられないんだから)


すべて話してしまいたかった。

助けてほしかった。


でも……

薫さんは、黒川さんの唯一の味方だから。

すべてを話して、薫さんをあたしの味方にしてしまったら?

薫さんのことを、黒川さんが敵と認識してしまったら?

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