ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
鏡の中のあたしが、ふとにっこり微笑んだ。


(あれ……)


女らしい、明るくて楽しそうな、うきうきするような微笑み。


(鏡の中に、アヤがいる)


「アヤ、そんなところで何してるの?」


思わずそう言ったら、鏡の中のアヤが同じことを言った。


(何やってんだろ、あたし。

鏡に映ってるのはあたしなのに)


楽しげににっこり笑う、あたし。

そっか、あたし、ちょっと女の子っぽくなったのかな。

鏡の中のあたしが女の子っぽく見えるんだから。


しかも、そんなにイヤじゃない。

自分が女の子に見えるのに、だいぶ慣れてきたのかも。


女の子の、あたし。

あたしは、女の子。

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