ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(そっか――

実はあれは、あたしの抑圧された欲求に過ぎなかったんだ)


あんなにアヤははちゃめちゃだと思っていたのに。

アヤがやってたことを思い出すと、決してあたし自身とそんなにかけ離れたことでもなかった。


(それはもしかすると、柚希ちゃんが実は興味のあることなのかもしれないよ。

何かが邪魔をして、興味があってもできないことを代わりにやっているのかもしれない)


そんなわけないって思ってたけど。


女であってはいけないから、興味があることさえ自分で気づかないくらいに閉じ込めていたさまざまな欲求。

男になろうとして、女の部分をきれいに箱に入れてぎちぎちに蓋をして。

閉じ込められた女のあたしは、ひそやかに成長して、人の形になった。


――それがアヤだったんだ。


(みんながやってるようなことを経験してみたい。

女の子らしいことをやってみたい。

女の子になりたい――)

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