ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
そして、克己のくりくりした愛嬌のある目をじっと見つめる。


「あたしね……克己に謝らないといけない」

「何を」

「あたしのこと好きだって言ってくれたのに、あたし、ひどい態度取って、本当にごめんね」

「……そんなの、謝るなよ。別に柚希は悪くないよ。しょうがないもん」

「ううん。

あたし……好きな人ができて、初めてわかったんだ。

好きな人にああいう態度を取られたらどんなに辛いか、よくわかった。

相手に別に悪気はないってわかってても、相手が自分に関心がないってわかると、何もかもどうでもいい、なんて思っちゃったしね。

ほんとにごめんね」


あたしの言葉に、克己のハッと息を吸い込む音が聞こえた。


「好きな……人?」

「うん」

「柚希、好きな人ができたの?」

「……うん」

「誰?」

「克己の知らない人。すごく素敵な絵を描く絵描きさんなんだ」

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