ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「ねぇ、僕を騙すなんて、一体どういうつもり?」


ほんのり微笑んだ、美しい顔が近づく。


「どうせこんなことだろうと思ったよ。

言ったでしょ、柚希はもう僕から逃れられないって。

まだわからないの?」


至近距離でじっと見つめられて。

異様な光を放つ黒い瞳が視界いっぱいに広がったように見えた。


「僕に隠れて何かをしようとしても無駄だよ。

どうせ全てバレるんだから」


(僕に隠れて――?)


突然、脳裏に“お泊まり愛”のスクープ写真が浮かんだ。


やっぱりあたしを牢獄に閉じ込めようとしているの?

それともあたしで復讐しようとしてる?

いつまでこんなことを続ければいいの?


(――このままやられっぱなしじゃいけない。

言いたいことを言わなきゃ)

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