ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
あたしはなけなしの勇気を振り絞る。


「ねぇ、黒川さん……

お願い、ネットに写真をばらまくなんて言ってあたしを脅さないで」


震えた声だったけど、何とか声が出た。

一度絞り出せたら、怯えながらも何とか言葉が続く。


「あたし、黒川さんのことを信頼してた。

絵の話をしたりするのがすごく楽しかった。

黒川さんの絵も大好きだし、素晴らしい人だって、思ってました。

ここに来るのが楽しみだったのに。

……黒川さんに脅されるなんて信じたくない。

そんなことしてほしくないんです」


何とかそこまで言って、大きく息を吸い込んで。

気づけばあたしは半ばヤケクソで叫んでた。


「これ以上あたしを脅す気なら、いっそのこと写真をネットにばら撒けばいいでしょ。

そしたら、黒川さんにも切り札がなくなることくらい、あたしにもわかるもん」

「……」

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