ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「薫さん!」


あたしは思わず大声で叫んで、気づいたら走っていた勢いのまま薫さんに抱きついてた。


「おわっ」


いきなりのことに、薫さんは目を丸くしてよろけながら、あたしを何とか抱きとめる。


(薫さん……ちゃんとここにいてくれた)


ホッとして緊張が解けたあたしは、薫さんの腕をつかんで思わずわっと泣きだしてしまった。


「ちょっと、どうしたの?」


驚いた薫さんの声。


(ファイルを消そうなんて、するんじゃなかった――)


怖かった。

心臓がドキドキして、緊張で死にそうだった。

不意に後ろから声がしたときは、心臓が止まるかと思った。

本当に写真がアップされてしまったと思ったときは、目の前が真っ暗になった。

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