ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(睫毛の色も薄いんだ……)


初めてのアングルに妙にドキドキしてしまう。


「あらら、髪の毛が……」


薫さんは、心配そうに形の良い眉をハの字にして。

あたしの頬に涙で貼り付いた髪を、細い指先でペリペリと丁寧に剥がして、頬の涙の筋を長い指の背ですぅっとぬぐった。


(わ……)


途端に心臓が暴れだして、頬がじゅわっと紅潮する。


(もう、無自覚なんだから!)


そんなこと、しないでよ……


「……やっぱり何かあるんでしょ?」

「……」

「兄貴に何かされた?」

「……」


黙りこむあたしを、下からじっと見上げる。

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