ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「……?」

「薫さんのことを話してよ」

「えぇ?」


いきなりのあたしの言葉に、薫さんはぽかんと口を開けた。

目が大きく見開かれて、きれいな薄茶色の瞳がよく見えた。


(そんなに驚かないでよ)


あたしが関心持っちゃ、おかしい?

なんて、ちょっと腹が立ってしまう。


「だってあたし、薫さんのこと何も知らないんだもん」

「……オレのことって、何話せばいいの?」

「何でもいいから話して」

「…………」


困ったように突如黙り込んでしまった薫さんに、何だかおかしくなって吹き出してしまった。

人のことはあれこれ言うくせに、自分のこととなると途端に頭が真っ白になっちゃうのかな。

自分のことは何にもわかってないのかもしれない。


あたしは笑いながら言った。

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