ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「……今でも生活自体はあんまり変わってないでしょ」

「え?」

「だって、今も公園でプラプラして、好きなことして過ごしてるし」

「ああ」


突然気が付いたかのようにうなずく。


「ああ、そうだね、そうかもね。

でも、財布の中身気にしないでよくはなったよ。

まともなところに住めるようになったし」


(まともなところ、か)


そういや最初は、2階建ての古いアパートに住んでるに違いないって思ってたっけ。

その頃からきっと、基本の生活形態が全然変わってないんだろうな。

服装も、当時から絶対変わってない。

その辺で売ってるようなカジュアルな無地のTシャツ、パーカーにジーンズ。そんな感じの似たような服ばっかり着てるし。

想像すると楽しくなって、一人で微笑んでしまう。


「前ね、あたしにいろいろ言ってくれたでしょ、認められたいから描いてるんじゃないかとか」

< 205 / 278 >

この作品をシェア

pagetop