ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
周りを見回すと、きょろきょろしている男性が目に入った。

背の高い、どこか目を惹く容姿。


(あの人だ)


清水さんの顔はネットで確認済みだった。

ちょっとワイルドな、男らしい容姿。


軽く手を上げて合図してみると、その人はあたしに気づいてギョッとしたように目を見開いた。

すばやくあたしの座っていたソファの隣の席に滑りこむ。

コーヒーをオーダーすると、内緒話でもするかのように身を乗り出した。


「びっくりした。

心臓が止まるかと思ったよ」


俳優らしい、深みのある声。


「秋月レイに似てるって言われたことある?」


あたしはちょっと微笑んでうなずいた。


「……いきなりすみません、清水さん。

快く来ていただいて本当にありがとうございます」


あたしはペコリとお辞儀をした。

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