ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「やっぱり俳優さんてオーラがありますね、遠くの方からすぐにわかりました」


あたしの言葉にニッと微笑む清水さんに、早速切り出した。


「今日お会いしたかったのは……

清水さんと秋月レイさんのことを教えてほしかったんです」

「……うん」

「ぶしつけですみません。

すっごく失礼なのは承知の上なんです。

でも、どうしても知りたいの」

「……どうしてか、聞いてもいいかな」

「あの当時、レイさんの恋人だった人が今、あたしの身近にいるんです」


そう言っただけで、清水さんは大きくため息をついて、何度も深くうなずいた。


「………なるほど、そういうことか。よくわかったよ。

それなら俺はすべてを話す義務がある」


清水さんは、コーヒーを一口すすった。

どこから始めようかと考えるかのように、頭を巡らせる。


「あの当時、あんな事件があったからずいぶんいろいろ書かれたけど……

俺が……レイにベタ惚れだったのは事実なんだ」

< 223 / 278 >

この作品をシェア

pagetop