ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「大変だったんですね……

ありがとうございます。

話しにくいことを話していただいて」

「……」

「ねぇ、清水さん。

当時のレイさんの恋人はね、未だにレイさんが自分を裏切ったと思って苦しんでるんです。

彼は亡くなって何年も経った今もなお、彼女を深く愛しているから。

だからこそひどく苦しんでるの。

このままじゃ彼は永遠に救われない。

彼を救えるのはあなただけなんです、清水さん。

お願いします、彼を助けてあげてもらえませんか?」


「……」


清水さんは、あたしから目をそらした。

固い表情で。


「お願い。

今話してくれたことを、清水さんの口から黒川さんに話してあげてほしいの。

あなたにはとても辛いことだと思うんです。

もしかしたらひどく罵倒されるかもしれない。

< 227 / 278 >

この作品をシェア

pagetop