ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
……でもね、黒川さんはもっと苦しんでるから。

どうかお願い、あの人を救ってあげて。

過去の呪縛から、解き放ってあげて」


必死で話すあたしに、硬かった清水さんの表情がふと緩んで。


「そうか。君はその黒川とやらが好きなんだな。

俺もこのままでは死ねない。

わかった。付き合うよ、とことん君に。

明日の午前までなら空いてるから」


力強くうなずいた清水さんは、ふとナナメ上を見上げた。


「待てよ、黒川だって?

あの、美術の黒川くんのことか?

ちょっとあの……しゅっとした男前の」


(舞台美術をやっていたんです。もうやめてしまいましたけどね)


「多分そうです」

「……なんてこった。

なんてタイミングが悪いんだ」


清水さんは頭を抱えた。

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