ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

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エレベーターの中で、あたしの心臓は強く打ちすぎて口から飛び出しそうになってた。


(こんなこと、あたしにできるのかな)


清水さんのメイクさんに化粧してもらった顔が、エレベーターの中の鏡に映ってる。

ヘアメイクさんまで手伝ってくれて、あたしは今、ちょっとした女優さんみたいに見えた。

慣れない白のワンピースと、ヒールのある靴が歩きにくい。

ただでさえ、緊張で膝がガクガクなのに。


「ねぇ、清水さん。

あたし、レイさんに見える?」


思わず横に立ってた清水さんに聞いた。


「見えるというか……

顔がすごく似てるかというとそうでもないんだよね。

でも、凛とした、匂い立つオーラみたいなのが同じというかね。

遠目に見ると、本人かと思うくらい似てるよ。

特にそんなメイクしてたらね。

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