ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
ドアを閉めようとするのを、あたしは素早く半身で入り込んで体で止めると。
強引に扉を開いて中に入り、どんどん奥に入っていこうとする黒川さんに靴のまま走り寄って、腕を取って叫んだ。
「レイさんはあなたを裏切ってなかったの。
ほんとだよ。レイさんは最後まで、あなただけを愛してた。
……それはこの人が一番よく知ってる。
お願い。清水さんの話を聞いて」
あたしは清水さんを振り返る。
清水さんは黙ってうなずくと、口を開いた。
「……黒川くん。
レイの恋人が君だと知っていれば、もっと早くに話していた。
それを知ったのは昨日なんだ。本当にすまない――
俺の言うことなんて聞きたくないだろうけど、今から言うのは事実だから」
清水さんの、深みのある声でなされる告白が、静かで無機質な部屋に響く。
ただ顔をそむけて黙っていた黒川さんは。
清水さんの話が終わってしばらくして、ポツリと言った。
「帰れ」
「……」
強引に扉を開いて中に入り、どんどん奥に入っていこうとする黒川さんに靴のまま走り寄って、腕を取って叫んだ。
「レイさんはあなたを裏切ってなかったの。
ほんとだよ。レイさんは最後まで、あなただけを愛してた。
……それはこの人が一番よく知ってる。
お願い。清水さんの話を聞いて」
あたしは清水さんを振り返る。
清水さんは黙ってうなずくと、口を開いた。
「……黒川くん。
レイの恋人が君だと知っていれば、もっと早くに話していた。
それを知ったのは昨日なんだ。本当にすまない――
俺の言うことなんて聞きたくないだろうけど、今から言うのは事実だから」
清水さんの、深みのある声でなされる告白が、静かで無機質な部屋に響く。
ただ顔をそむけて黙っていた黒川さんは。
清水さんの話が終わってしばらくして、ポツリと言った。
「帰れ」
「……」