ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(あたし、大丈夫かな)


この期に及んで、あたしはいきなり不安になる。

こうなるのは、覚悟してたはずなのに。


心臓が、耐えられないくらいの速さで暴れ出す。


(どうしよう、こんなのやっぱり無理……)

(でも、もう後戻りはできない)


乱れた心を抱えたまま、そっとベッドに横たえられて。

あらわになった肌と肌が、唇が、そっと重なる。


肌に触れる手は、切ないほどにやさしかった。

息が止まるほどの苦しい愛が、そこにはあった。


智弘さんの胸の中だけにひそやかに紡がれていた、途切れない激しい想いが。


(智弘さんにこんなに愛されて……

レイさんは誰よりも幸せだったはずだよ。

きっと――)


幾度となく唇が重なるたび、髪に指が差し入れられるたび、腕でやさしく抱きしめられるたびに――

あたしの胸は少しずつ、耐え切れないほどに押し潰され、切り刻まれていく。

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