ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
3
===================
3
===================
眠りからふと目が醒めると、外はもうとっぷりと暮れていた。
レースのカーテンから、外の月明かりがほんのり差し込んでいる。
あたしは智弘さんの胸にぴったり寄り添って、伝わる体温を感じながら、ぐっすり寝てしまったらしい。
むきだしの腕が、そっとあたしの背中に回されていた。
(やさしい顔してる)
隣で平安な眠りの中にいる智弘さんを見ると、あたしは心から安堵する。
美しい寝顔に、しみじみとした愛情すら感じていた。
(あたしが本当にレイさんだったらよかったのに)
もしそうだったら、どれほどこの人を幸せにできるだろう。
そう思うと、涙がじわりと滲んできてしまう。
これ以上のことはできそうにない自分が、レイさんじゃない自分が悲しかった。
そっと体を離そうとして。
智弘さんの指が、あたしの指に絡まったままになっていることに気づいた。
(あ――)
3
===================
眠りからふと目が醒めると、外はもうとっぷりと暮れていた。
レースのカーテンから、外の月明かりがほんのり差し込んでいる。
あたしは智弘さんの胸にぴったり寄り添って、伝わる体温を感じながら、ぐっすり寝てしまったらしい。
むきだしの腕が、そっとあたしの背中に回されていた。
(やさしい顔してる)
隣で平安な眠りの中にいる智弘さんを見ると、あたしは心から安堵する。
美しい寝顔に、しみじみとした愛情すら感じていた。
(あたしが本当にレイさんだったらよかったのに)
もしそうだったら、どれほどこの人を幸せにできるだろう。
そう思うと、涙がじわりと滲んできてしまう。
これ以上のことはできそうにない自分が、レイさんじゃない自分が悲しかった。
そっと体を離そうとして。
智弘さんの指が、あたしの指に絡まったままになっていることに気づいた。
(あ――)