ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
身も心も疲れ果てて、振り返る気力もなかったけれど。
あたしにはこれは誰だかわかってた。
「……薫さん」
あたしの背後で止まった足音に。
半分だけ振り返る。
「部屋の窓から見えて、驚いた……幽霊でも見たのかと思った」
薫さんはあたしの隣にそっと座ると。
あたしの泣きはらした目を、問いかけるようにじっと見た。
「柚希ちゃん……?」
「……」
「これは……一体?」
「……今日はもうクタクタ。
今日1日ね、あたしレイさんになってたの」
無理に笑顔を作るあたしに、薫さんははっと大きく息を吸い込んで、薄茶色の澄んだ目を見開く。
「柚希……ちゃん」
あたしにはこれは誰だかわかってた。
「……薫さん」
あたしの背後で止まった足音に。
半分だけ振り返る。
「部屋の窓から見えて、驚いた……幽霊でも見たのかと思った」
薫さんはあたしの隣にそっと座ると。
あたしの泣きはらした目を、問いかけるようにじっと見た。
「柚希ちゃん……?」
「……」
「これは……一体?」
「……今日はもうクタクタ。
今日1日ね、あたしレイさんになってたの」
無理に笑顔を作るあたしに、薫さんははっと大きく息を吸い込んで、薄茶色の澄んだ目を見開く。
「柚希……ちゃん」