ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
さっと顔をそむける。

白い頬に少し赤みが差していた。


「ごめん……理性飛んでた。

今のは忘れて」


(なぜ……?)


あたし、薫さんが好き。

ねぇ、あなたが誰よりも好きなんだよ……


「……喉がかわいた」


疲れ果てたあたしの口から、唐突に言葉が漏れた。

喉がカラカラだった。


「そっか、わかった、何か買ってくる。

……ちょっと待ってて」


薫さんはまるで救われたかのように言うと、さっと立ち上がった。

素早い足音が遠ざかる。



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紅葉が少しずつ、ヒラヒラと舞うのをぼーっと見ていると。

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