ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「柚希」



「………え?」



智弘さんは近づいてくると、あたしを後ろからぎゅっと抱きしめた。



(――え?)



あたしはあわてて、そっと腕をほどいてベンチから立ち上がる。


「智弘さん?」


「柚希――君を、愛してるんだ」


そう絞りだすように言うと、立ち上がったあたしをきつく抱きしめる。


「何言ってるの?」


(――違うよ、智弘さん)


「ちょっと待って。

さっきはレイさんのふりをしてただけだよ。

あなたが愛してるのは、レイさんだよ。


――あたしじゃない」

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