ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「あ、そうなんだ」
あたしは思わず微笑む。
「度胸のある立派なお嬢さんだ、みたいなこと言われたけど……
芸能人に会わせろ、なんて厚かましいことを山中さんに頼む人なんて滅多にいないらしいし、ほんと迷惑だったんじゃないの?」
「あはは、そうだね」
「黒川さんとお付き合いしてるって言ったら、ずいぶん喜んでらしたよ」
「そっか」
あれからしばらくして、あたしは山中さんに、智弘さんがお礼を言っていたと清水さんに伝えてほしい、と電話したんだった。
もちろん、あたしからも最大級のお礼を。
ママにはわからない、あたしと山中さんだけの秘密。
あたしはママに生返事をしながら、いつか山中さんに会いに行こう、なんて思ってた。
服装をチェックしに、全身鏡の前に立つ。
まだまだ寒いから、スカートに薄手のセーター。
肩にかかるまでふんわりと伸びた髪を、ブラシで梳いた。
あたしは思わず微笑む。
「度胸のある立派なお嬢さんだ、みたいなこと言われたけど……
芸能人に会わせろ、なんて厚かましいことを山中さんに頼む人なんて滅多にいないらしいし、ほんと迷惑だったんじゃないの?」
「あはは、そうだね」
「黒川さんとお付き合いしてるって言ったら、ずいぶん喜んでらしたよ」
「そっか」
あれからしばらくして、あたしは山中さんに、智弘さんがお礼を言っていたと清水さんに伝えてほしい、と電話したんだった。
もちろん、あたしからも最大級のお礼を。
ママにはわからない、あたしと山中さんだけの秘密。
あたしはママに生返事をしながら、いつか山中さんに会いに行こう、なんて思ってた。
服装をチェックしに、全身鏡の前に立つ。
まだまだ寒いから、スカートに薄手のセーター。
肩にかかるまでふんわりと伸びた髪を、ブラシで梳いた。