ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
智弘さんは当然知ってるはずだけど、あたしはどうしても聞くことができなかった。
それが何を意味するか、智弘さんはきっとすぐに気づくから。
壁に飾られたカレンダーを眺めては涙する1年間ももう過ぎて。
今年はあたしは、薫さんのカレンダーを買わなかった。
涙でぼやけてしまって、はっきり見えないカレンダーなんて、役に立たないから。
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出掛けようと靴をはいているときに、ケータイが鳴った。
(あれ? ……克己?)
克己とは卒業式以来特に連絡しあってない。
なんだろう。
「はい、どうしたの?」
「柚希? ちょい久しぶり。
O美大、いけたんだって? おめでとう」
「あ、ありがとう」
「ちょっと小耳に挟んだんだけどさ」
「うん」
それが何を意味するか、智弘さんはきっとすぐに気づくから。
壁に飾られたカレンダーを眺めては涙する1年間ももう過ぎて。
今年はあたしは、薫さんのカレンダーを買わなかった。
涙でぼやけてしまって、はっきり見えないカレンダーなんて、役に立たないから。
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出掛けようと靴をはいているときに、ケータイが鳴った。
(あれ? ……克己?)
克己とは卒業式以来特に連絡しあってない。
なんだろう。
「はい、どうしたの?」
「柚希? ちょい久しぶり。
O美大、いけたんだって? おめでとう」
「あ、ありがとう」
「ちょっと小耳に挟んだんだけどさ」
「うん」