ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
まさに完璧な人だった。
何よりも、あたしの絵の良き理解者であり、良き指導者。
こんな人に愛されて、こんな幸せなことはないから。
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「ねぇ、柚希。いいの?」
ケーキを仲良く食べた後のコーヒータイムで。
智弘さんはふと壁の時計を見上げると、行儀よく飲んでいたコーヒーカップをコトンと置いた。
空のコーヒーカップの並んだテーブル越しに手を伸ばして、あたしの手をぎゅっと握ると、突然そう言った。
「いいのって、何が?」
智弘さんは、にっこり微笑んだ。
「柚希はこのままでいいのかって聞いたんだよ」
「このままって?」
「このままじゃ、柚希は僕と結婚してしまうよ」
「……え?」
あたしは驚いて、思わずポカンとしてしまう。
何よりも、あたしの絵の良き理解者であり、良き指導者。
こんな人に愛されて、こんな幸せなことはないから。
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「ねぇ、柚希。いいの?」
ケーキを仲良く食べた後のコーヒータイムで。
智弘さんはふと壁の時計を見上げると、行儀よく飲んでいたコーヒーカップをコトンと置いた。
空のコーヒーカップの並んだテーブル越しに手を伸ばして、あたしの手をぎゅっと握ると、突然そう言った。
「いいのって、何が?」
智弘さんは、にっこり微笑んだ。
「柚希はこのままでいいのかって聞いたんだよ」
「このままって?」
「このままじゃ、柚希は僕と結婚してしまうよ」
「……え?」
あたしは驚いて、思わずポカンとしてしまう。