ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
ぶわっと涙があふれて、次々と頬に伝った。


(智弘さん……ありがとう。

あたし、あなたをほんとに愛してた)


涙が止まらなくなって、あたしは薫さんの胸を借りてわんわん泣いた。

薫さんはただ黙って何も言わずに、あたしをずっと抱きしめてくれていた。

あの頃と同じように。





「……にしても、ひどい言われようだな……」


ふと、ポツリとつぶやかれた薫さんの声に。


(大体合ってるよ)


あたしはやっぱり、泣きながらも吹き出してしまった。


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